Vägen för alla

スウェーデンで学んだこと、生活、色々。

Conviviality 共生 -明るい多様性社会を目指して-



 

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ルンド中央駅

 

先週の授業でDiana Mulinari先生が説明していたConvivialityという概念が面白かったのでシェア。

Convivialityは、Cambridge辞書によると

 

「quality of being friendly and making people feel happy and welcome親しみやすく、人々を幸せに感じ、歓迎してくれる質」

 

という意味。

ジェンダースタディーズや移民スタディーズなどでは、共生と訳せるかな。

社会学者 Lyn Lofland が専門用語として使い始め、先週の授業ではロンドンにおける多様性と多様性のなかで人々が生活する様子を分析する概念としてConvivialityが登場しました。(Lofland LH (1989) Social life in the public realm. A review. Journal of Contemporary Ethnography 17: 453–482.)



先生は、

 

Conviviality is based on the acknowledgement of  the fact that we are different and we sometimes disagree with each other. We can be convivial in the way to live together in our differences without challenging the differences .

友好的であることは、私たちが異なっており、時には互いに同意しないという事実を認めることに基づいています。私たちは違いに挑戦することなく、私たちの違いの中で一緒に生きる方法で共生するのです。

 

と説明していました。

 

 

またSusanne Wessendorfは、

 

「people treat each other with civility, independently of their backgrounds.

背景に関係なく、互いに礼儀正しく接する。

Although such positive talk about difference does not rule out the coexistence of privately held negative views, it shows that commonplace diversity and relaxed attitudes towards difference emerge over time and as a result of everyday lived conviviality

 このような違いについての前向きな話は、私的に個人が持っている否定的な見方と同時に存在するだろうが、ありふれた多様性と違いに対するリラックスした態度は、時間の経過とともに、日常生活の共生の結果として現れる。」

(‘Being open, but sometimes closed’. Conviviality in a super-diverse London neighbourhood Susanne Wessendorf)

という風に説明してます。

 

私たちはものに対する好みや考え方、政治信条、宗教、エスニシティ、性別、出身国、性的志向、階級、などいろいろな違いがあります。

違いに目を向けることも大事ですが、違いそのものに挑戦すると対立がおきます。

日常生活のなかでは、隣人としてお互いリスペクトし、適切な距離で、礼儀正しく、一緒に気楽に住むのが大事やでってことをConvivialityは表してると私は解釈してます。

 

日本もこのまま今の経済規模を維持したい&少子化対策を抜本的にする気がないならもっとたくさん移民に来てもらうことになるかと思いますが、移民国家の中心都市イギリスはロンドンから学ぶことはこのConvivialityです。

移民=社会の混乱を招いて共同体を分断させるものっていうディストピア的な見方以外にも、イイ感じに共生してる場所もあってそんなに悲観的にならんでもいいのかなとおもいました。

 

 

 

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https://www.genus.lu.se/diana-mulinari

Diana先生はアルゼンチンから政治難民としてスウェーデンへ来ました。社会学博士。ジェンダー学部教授でありかつアクティビスト。

移民まして難民としてスウェーデンに長く住んでいるので、スウェーデンの酸いも甘いも知り尽くしてる方です。

スウェーデンは冷たいって何回か言うてはってどういう点が冷たいと思うのかもっと知りたいです。個人的には、4年住んでみて、スウェーデンは冷たいっていうのにはある点では同意します。

移民や難民をたくさん受け入れる一方、かれらと共生する社会を作っているのかという点ではまだまだ課題がたくさんあって、今の住宅システムは特に共生社会の妨げになってるなと感じます。

 

話はそれますが、政治的・経済的な状況で私たちの違いがあおられすぎるとIdentity Politicsが行きすぎて対立が激しくなってしまします。

私たちの違い、その違いゆえに差別があるならばもちろんその差別を無くすために議論し解決へ向けて協力しないといけません。

たとえば、日本なら性別による賃金格差、性的志向や国籍による住宅差別、アメリカならBlack lives matter ですね。

 

Reference

Lyn Lofland Ph.D., University of California

Lofland, LH (1989).Social life in the public realm. A review. Journal of Contemporary Ethnography 17: 453–482.

 

 Wessendorf , Susanne. Being open, but sometimes closed. Conviviality in a super-diverse London neighbourhood.