Vägen för alla

スウェーデンで学んだこと、生活、色々。

世界子どもの日 WORLD CHILDREN’S DAY

今日11月20日 は 世界子どもの日 です。

November 20th WORLD CHILDREN’S DAY

 

1979年に

スウェーデンが、世界に先駆けて児童体罰禁止を法律で定めてから40年。

1989年に

子どもの権利条約United Nations Convention on the Rights of the Childが採択されてから30年。

ようやく

2020年4月、日本でも親が子どもに体罰を与えることが法律で禁止され、子どもの権利を守るために大きな一歩が踏み出されました。

 

現在、体罰なしでの子育てが当たり前なスウェーデンですが、法律が施行された当時はしつけとしての体罰が当たり前でした。

スウェーデンにおける子どもへの体罰禁止法律制定に尽力した政治家の一人Birgitta Dahlブリジッタ・ダールはインタビューで当時の苦労を振り返っていました。

当時、子どもの体罰や家庭での暴力はありふれたことで、これを禁止することに強い反発があり、ダール氏は電話や手紙だけでなく、郵便箱に汚物を入れられるといった嫌がらせに悩まされたそうです。(Sveriges Radio.2018) 

エリサベット・ダリーン氏も会見で法案が思考されるまでの道はそんなに簡単なものではなかったと述べています。(日本記者クラブ.2019)

法案設立を支持する世論を盛り上げた一人が、児童文学者として名高いアストリッド・リンドグレーン

彼女のNever Violence(1978) というスピーチは、体罰禁止を啓発するべく日本でももっと知られたらいいなーと思います。

 

We all desire peace. So is there any possibility at all of our changing fundamentally, before it’s too late? Of our learning to distance ourselves from violence? Of our trying quite simply to become a new kind of human beings? But how could we go about that, and where should we start? I believe that we should start from the bottom. With the children.

 

 

私たちは皆、平和を望んでいます。 手遅れになる前に、私たちが根本的に変わる可能性はあるでしょうか?暴力から身を遠ざけることを学んだことについて? 非常にシンプルに新しい種類の人間になろうとしているのでしょうか? しかし、どうすればそれを実現でき、どこから始めればよいのでしょうか。 私たちは下から始めるべきだと思います。 そう、子供たちと。(Astrid Lindgren Company)

 



スウェーデンが子どもへの体罰を禁止した歴史的背景や法律の目的、現状については、2019年にElisabeth Dahlinエリサベット・ダリーン 児童オンブズマンが日本で行った記者会見がわかりやすくおすすめです。

印象に残ったのは、

 

この法律の目的は、個々の子どもたちの尊厳を守る権利を尊重することです。 

すべての子供たちには、安全な環境で敬意を持って成長する権利があります。

また、親を刑務所に入れるのではなく、子供に対する社会の態度を変えることをこの法律は目指しています。

The aim of this law is  to respect an individual child's right for their integrity . All children have the right to grow up in a secure environment and with respect. 

Also, it is aiming not to put parents in prison but change the society's attitude toward children. (日本記者クラブ.2019)

 

ということ。

親を罰するのが目的ではないっていうのはとても大事なポイントです。

精神的肉体的体罰なしに子どもを育てる、一人の個人として子どもを尊重する、という規範を社会に浸透させることがこの法律に期待されている役割なんですね。

 

また、少し古いですが Save the Childrenスウェーデン政府が共同で作ったパンフレット「子どもに対する暴力のない社会をめざして 体罰を廃止したスウェーデン35年のあゆみ」もわかりやすくておすすめです。(Save the Chirdren.2014)

冒頭に当時のマリア・ラーション 子ども・高齢者担当大臣 がメッセージを寄せています。

 

子どもに対して暴力がふるわれると、子どものおとな社会に対する信頼が損なわれます。

そして、もし子どもの両親や、近親のおとなによる暴力であれば、子どものおとな社会への信頼はさらに損なわれます。

世界中、多くのおとなが、子育てにおいて暴力をふるうことは正当化できず、人を傷つけ、また嘆かわしい手法であるという共通の認識を持っています。しかし、たとえ多くの人々がこのように信じていたとしても、この問題をめぐる情報の提供や世論形成のための活動を継続する必要があります。スウェーデンでも、また他の国々でも、説得すべきおとなは未だに存在します。また、新しい世代の親たちも情報を得る必要があります。

私たちは、子どもが十分に尊重され、暴力や暴力の脅威が決してなく接せられる日が来ることを切に願っています.

叩かれた子どもは、叩くことを学びます。

愛された子どもは、愛することを学びます。

      マリア・ラーション 子ども・高齢者担当大臣 (2010-2014)

        Maria Larsson Sveriges barn- och äldreminister (2010-2014)

 

 

児童虐待事件が後を絶たない現状を少しでも改善し、

社会を、大人を信頼し、他者を愛せる子供たちがすくすく育つ安心な社会へと日本社会を変えていくのは、今この2020年からが始まりです。

 

 

 

参考

Astrid Lindgren Company. Never Violence! https://www.astridlindgren.com/en/book/never-violence

 

Save the Chirdren.2014.子どもに対する暴力のない社会をめざして 体罰を廃止したスウェーデン35年のあゆみ.

https://www.savechildren.or.jp/scjcms/dat/img/blog/1713/1412921460115.pdf

 

Save the Chirdren.2019.子どもに対するあらゆる体罰を禁止するために よくある質問集

https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/php_faq_2019_general.pdf

 

Save the Chirdren.2019.体罰禁止法定化後のスウェーデンの取組 

https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000573082.pdf

体罰禁止法以降、スウェーデンがどのように啓発活動をしているのかについて詳しくておすすめ。

 

Sveriges Radio.2018.Birgitta Dahl – om att inte vara en liten lort

https://sverigesradio.se/avsnitt/1154598

 

日本記者クラブ.2019.「体罰禁止 法制化と社会啓発~スウェーデンの経験から」 

https://www.youtube.com/watch?v=GYR3dA2gYPM&list=PLLp7JirMpDlyndkcedrr4LCSE4oXi2h9F&index=10&t=1s

 

子どもの権利条約については ユニセフのホームページへGO!

https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html